読書のおすすめ

筆者が読んだホラー小説、エッセイなどを中心にご紹介しています。

本の紹介:記憶の隠れ家

とても寒い日が続きますね。
筆者、川に氷が張っているのを見るのは久しぶりな気がします。

さて、本日は、家を掃除してたら出てきた小池真理子氏の
記憶の隠れ家を紹介したいと思います。
高校の時、よく読んでいたなあ。

この記憶の隠れ家は「家」に関する短編集です。
そして家に関する記憶、思い出にとらわれ続けている人たちを
描いた短編集でもあります。
「家」というのは人がいて機能するものであり、
いろいろな思い出を物と共にため込んでいることや、
人のいなくなった家はあっというまに傷んでしまうことを考えても
小説の題材としては欠かせないのだろうと筆者は考えています。
家が溜め込んでいる思い出は、良いものもあれば、悪いものも、
「見てはいけないもの」もあります。
物語はそうした家の「みてはいけないもの」を見てしまった人たちのお話しです。

幼き頃の、楽しかった、美しい思い出にとらわれ続けている
「刺繍の家」、コミュニケーションが苦手な妹と、自らが犯した罪に
捕らわれ続ける「獣の家」、継母の急死とともに家の片づけをしに来た時に
忌まわしい記憶が開いてしまう「封印の家」、妻の不倫相手のおぞましい秘密が詰まった
「花ざかりの家」、過去の罪と関係者の再会を描いた「緋色の家」
亡き夫の罪の証である「野ざらしの家」の6編で
それぞれの家が違った「みてはいけないもの」を語っています。

特に自分が怖かったのは最初の「刺繍の家」で
変わらない、変わっていないという事の恐ろしさ、いや変わってはいるのだけれど
変わっていないように見せかけている、この穏やかな狂気が一番恐ろしかったです。
まさしく「見なければよかった」と一番感じた短編でもありました。

興味のある方はぜひとも読んでみてください。
そして筆者や、短編の主人公たちと同じように「見なければよかった」という
気持ちを知ってください。


 にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
関連記事

次のページ