読書のおすすめ

筆者が読んだホラー小説、エッセイなどを中心にご紹介しています。

本の紹介:迷路館の殺人

一月もあっという間に過ぎました。
ある程度年を取ると一年があっという間です。

さて、本日ご紹介する本は綾辻行人氏の
「迷路館の殺人」です。
綾辻先生の館シリーズの一つですね。
ちょっとネタバレ入ります。

このお話は夏風邪を引いて寝込んでいた島田氏のもとに
ある一冊の本が届くところから始まります。
本には「迷路館の殺人」と書いてあり、大仰な宣伝文句に
苦笑いしながら読んでいきます。
つまりこの作品は「迷路館の殺人」という本を島田氏が読んでいる、という
形で始まるのです。

ある小説家が自分の人生に終わりが近いことを悟り、
自分の弟子たち4人と評論家と編集者夫婦ら8人を招き入れます。
実はこの時点で小説家は自殺していると聞かされており、
小説の競作に買ったものは彼の遺産数億円を相続できるというものであり
競作のルールも作られているという手の込みっぷりでした。

初日こそ、なんのトラブルもなく終わりましたが
なんと2日目に4人の小説家全員が殺害されるという
超展開っぷりを見せます。読んでいて思わず「早いわ!」と突っ込んでしまいました。
そしてこの緊急事態に残り4人は部屋に集まり、島田潔を中心に
討論を始めました。

うん。あれ?島田さん冒頭でこの本読んでるよね?
と思ったのですがいろいろとあとでわかります。

そしてダイイングメッセージから迷路のトリックを解き、隠し部屋をたどり、
最後の部屋へたどり着いた時、そこには黒幕がこと切れておりました。
ええ、実は冒頭で聞かされていた「自殺した」はエイプリルフールだったのです。
そして、彼は自分の弟子を殺してみたかったという動機と
さらに遺産は自分の子供にやる、という身勝手な遺書を残していました。

筆者最初にこの顛末をみたときは「え?これ殺された人、とばっちりじゃね?」と
思ってしまい、次に作中の見立て殺人が見事だったのに気が付き
「この黒幕、自分の弟子達を自分の遺作にするためだけに
このトリックを作ったのか」という事に思い至ってちょっと背筋が寒くなりました。

しかしエピローグでさらにやってくるどんでん返し!!
最初の島田さんと、お話にでてくる島田潔さん、この謎もここで解決します。
まあ最初のやり取りからして近い関係の人なんだろうなあとは思っていましたが、
それよりも真犯人が別にいた事に驚くしかありませんでした
と、同時に「そんな事できるのってあの人しかいないよね?」とすぐに犯人が分かってしまいました。
よく読み返してみればその人だけなんか言い方があいまいで不自然な感じはしたのに。
犯行の動機はやはり遺産で、いろいろあって遺産がすべて欲しかったことや
そして、これまでの犯行をすべて小説家の狂気によるものに仕立てるために
人を殺害したのだと思うと鳥肌が立ちました。
そして「あの人ならやりかねない」と思わせるくらいの再現率の高さにも。
被害者とばっちりもいいところだ。
そして作者は真相を告発するために本を出版した、という事でした。

この本のエピローグで「迷路館の殺人」なんてタイトルで実際にあった事件を
推理小説にした、という事は今のところその人の目論見は成功しているのでしょう
ただし、再捜査が始まってよくよくきちんと考えてみれば、いろいろな状況証拠から
あの人が犯人でしかありえない、という結論になるので
結局その人のところに捜査の手が伸びるのも時間の問題だと思います。

今回のお話は叙述トリックとどんでん返しの使い方がうまいなあ、と
改めて思いました。
さすがにこのどんでん返しには唖然とするしかなかったです。
いや、いい意味で期待を裏切ってくれたと思っています。


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