読書のおすすめ

筆者が読んだホラー小説、エッセイなどを中心にご紹介しています。

本の紹介:嗤う伊右衛門

梅雨というには少しおかしい量の雨が降っておりますこんにちわ。
ということで本日も筆者が趣味で買ってきた本の紹介です。
実は一回登録したつもりが登録されていなかったというオチです。どうしてこうなった。

今回、ご紹介するのは、京極夏彦の嗤う伊右衛門です。

詳しい話は知らなくても名前だけは知っているだろうと思われる
四谷怪談をもとにした、病気で顔が崩れた民谷家の跡取り娘、岩と
その岩に婿入りした無愛想で生真面目な浪人、伊右衛門の悲恋です。
怪奇小説、というより恋愛小説という側面が強いですね。

四谷怪談と違うのは物語が始まる前から岩の容姿は醜くなっています。
このままではお家が亡くなるということを危惧した父、民谷又左衛門は
無愛想で生真面目で笑ったことがことがないとまで言われる浪人、伊右衛門を
婿養子として迎えることになります。

伊右衛門は岩の容姿より、その内面に惹かれて惚れ込んでいるため
お岩が不審ゆえに起こす癇癪も伊右衛門は黙って耐えます。
些細なことで夫婦喧嘩にはなりますが、時間がたてばそれなりに
落ち着いたとは思われますがどっこい、
容姿が美しかったころの岩に袖にされた事を逆恨みしている
権力者、伊東という男の差し金によって梅という妾を妻にと押し付けられ
もともと容姿に引けめを感じていた岩は伊右衛門の為を思って身を引き、
離縁して家を出ていきます。

しばらくの後、仲人からそれが全て策略だったことを知らされた岩は
激昂して仲人を殺害してしまい、パニックになって失踪します。
そこから「お岩のたたり」のうわさが流れ、もともと精神的に参っていた梅は
ますますふさぎ込むようになり、ついに子供がさらわれ、翌日、変わり果てた姿で
発見されました。
何もかもがわかってしまった伊右衛門は梅と伊東を斬り、
あまりの伊東の外道ぶりにおとがめなしになって一年後、
家から出てこなくなった伊右衛門の様子を見に民谷家の遠縁の若者が
屋敷を尋ねたところ、伊右衛門と岩の笑いあう声が聞こえて逃げ帰り、
さらに数日後にもう一度様子をみにいって・・・というところで終わりです。

原作四谷怪談ではこの伊右衛門はひどい夫として書かれていますが
今作ではひたすらに不器用で、顔の醜い妻をそれでも何よりも愛しているよき夫であり、
精神的に参っている梅が、執着するのもわかるくらいよい旦那さんです。
さいごの最後、ようやくこの夫婦は笑いあえますが、
それがどういう事かはご想像にお任せします。
あの描写からすると、お岩さんの遺体を
伊右衛門は連れ帰ってきて、大事に保管してたのかなあと思うと

伊右衛門の悟りっぷりと、行動の正体がわかるんですよね。
どこまでも伊右衛門の愛していた妻は岩ただ一人で
その深い愛に手を合わせたくなりました。

ちなみにモデルになったお岩さんは実在しており、
別に夫を祟ったわけでなく、むしろ夫婦仲良くお家を再興した人なんですけどね
どうしてああ(四谷怪談)なったのかすごい不思議です。


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