読書のおすすめ

筆者が読んだホラー小説、エッセイなどを中心にご紹介しています。

読書のおすすめ ≫ ホラー小説

本の紹介:残穢

みなさんこんにちわ。
このところ駅伝の話しかしていなかった筆者です。
昔長距離の競技やっていたのでどうしてもみてしまいます。
とりあえず今年、旭化成が九州予選の出場辞退はしないようで一安心しています。
あの人材一年遊ばせるなんてもったいないにも程があるわ。


さて、駅伝の話はさておき、今回ご紹介したいのは小野不由美氏の
残穢です。以前、鬼談百景でお話して百物語の百話目になります。

一言でいうと怖かったです。
悪霊が襲ってくる系のあれではなく、前にも例えたようなきがしますが
夜眠るときに部屋の隅っこが妙に気になるタイプのじわじわとした怖さがあります。

主人公である「私」が読者の投稿や相談をもとに、糸を手繰るように怪談の根元を
調べていくストーリーなのですが、終盤、その糸は闇に溶けてしまいます。
つまり、怪談の正体はわかりません。土地に因縁があるという所までは
分かるのですが、結局、そこの根本に何があったのかはわからないままです。
でも確かに異常はあって、そこここに絶対に何かいる、ある、というのは
恐ろしいものです。
そして我々に「訳が分からないものや理解できないものは怖い」ということを
教えてくれる本でもあります。
ただただよくわからないうちに怪奇現象が連鎖して、少しずつそこにたまっていく、
そんな感覚があります。
でも、ぼんやりしているからこそ何かがある、というのはわかるという
訳の分からない怖さ・・・うーんうまく表現できない。
ぜひともお手にとってみてこの何とも言えない怖さを分かってほしいです。

この作品、2016年に映画の上演が決まっています。
このよくわからない怖さが銀幕でどのように表現されるのか
楽しみでもあります。

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本の紹介:しゃばけ

見るからに暑そうな北京の世界陸上を見ながら、
今井正人選手が出場できていたらとおもっている筆者です。
でも髄膜炎は後遺症がでる恐れがあるからきちんと治療してほしいです。

夜に10000mやるけど・・もうトップは27分台の世界だしなあ・・・。
ここまで来てしまうともう人種の問題になるし・・。
日本の選手全員初参加だしなあ。

さて、本日ご紹介する本は畠中恵氏のしゃばけです。
映画や特別ドラマにもなっていますので
知っている人は多いかと思います。

江戸有数の廻船問屋の一人息子の一太郎、通称若旦那は
外出もままならないくらい、病弱です。
そんな若旦那がかわいそうなのか
周囲の人間や人間以外も彼に世話を焼いています。

それがうっとおしいのか、こっそり夜に出かけた帰り道、
誰かに襲われかけた上に、殺人事件にも遭遇してしまいました
その時は(自分が外に出ているとまずいので)
見なかった事にしようとそのまま立ち去りますが、
その日から奇妙な殺人事件が巷を騒がすことになり、
若旦那は妖の力を借りながら首を突っ込むことになるのです。

体は弱くても器量はよし、頭脳も明晰、おまけに
人には見えない妖の力を借りることができるということで、
事件を進めていき、やがて犯人が何かの薬を
探していることに気づき、正体を突き止めるところまで行きます。

「強くなりたい。せめて自分に嫌なことでも受け止められる強さがほしい」
お守り役の妖怪や周囲の過保護をよそにそう思えるくらいには
彼は男です。

しかし、彼の体の弱さも本物で
作中で犯人に襲われかけた使用人を守ろうとして
ケガをしてしまい、一ヶ月ほど寝込むほどです。
そんな体なのに今回の事件の黒幕と
一騎打ちすることになります。

物語はあやかしがたくさん出てきて
人に害をなすものではなく
どちらかというと、ただそこにいる精霊のような存在です。
それらとお話をしながら若旦那は真相に近づいていきますが
その途中で
なぜ、若旦那がそんな力を持っているのか、
なぜ、お守り役の妖怪は彼を過保護にするのか、
そんなことも明かされていきます。

若旦那の知られざる活躍によって
事件は無事に解決するのですが
若旦那の身の回りについては
まだまだ問題だらけです。
若旦那の体が弱いのは「しょうがない事」と受け入れながら
彼がどのようにその問題と戦っていくか、という所で
一端物語の幕が落ちます。

この作品のもう一つのテーマは
「自分ではどうにもならないことをどうするか」
にあると思います。
若旦那が体が弱いのを受け入れながら、ではどうやって
生きていくか、と考えていることや

黒幕である付喪神の成りそこないの墨壺が
自分がなれるはずだった付喪神に戻りたくて
なりふり構わなかった事と対照的にとらえています

よくあるテーマではあると思うのですが、考えさせられました。

個人的には、よく読み返してみれば結構大変なことが起きているのですが
あまりそうと感じさせない文体も好きです。

古本屋などで見かけたら読んでみても損はないと思います。


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本の紹介:怪談撲滅委員会 死人に口無し

いよいよ夏休みも近くなってきましたこんばんわ。
昨今の夏休みの宿題がどういうものか筆者にはさっぱりですが、
面倒なものから先にやっていく方がいいよと言ってみます。

さて、今回ご紹介するのは黒 史郎氏の怪談撲滅委員会 死人に口無しです。

前回の続き物ですね。詳しくは前の記事をみてもらうことにして、

よくわからんという人は一言でいえば

怪談恐怖症の少女がどういうわけか変な男に目をつけられて
怪談を抹消する手伝い、とう名でガチ怪奇現象に放り込まれる羽目になったよ、

というお話です。

前回もギャグテイスト(NOTラブコメ)でしたが今回も悪乗り部分がカッとんでおります。
ここで転んだら死ぬ、といわれている場所に転倒防止処置を
これでもか、というくらいうやったり、葬儀会場落書き、死者の指にマニキュアしたり
桜の木の根元にフカヒレスープ流し込んだり
徹底的に怪談をおちょくっています。
さらに今回は怪談推進委員会なる者たちまで出てきて
もう、澪の平和な学園生活はどうなるの? というお話だったりします。

相変わらず雲英に振り回されている澪さんですが、
慣れてきたのは冷徹なツッコミを入れていたり、
ぶん殴ってやりたいとおもったりしています。
多分ぶん殴ってもいいと思うの
今回は雲英の本名がわかり、それでからかっているので
それでいいかとも思います。

ここまででしたらただのライトノベルですが、そこは角川ホラー文庫
怪奇現象の部分はガチでおどろおどろしく描写されていますので
ホラー小説を読みたい、でもあまり重いのは嫌だ、という方にお勧めです。


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本の紹介:嗤う伊右衛門

梅雨というには少しおかしい量の雨が降っておりますこんにちわ。
ということで本日も筆者が趣味で買ってきた本の紹介です。
実は一回登録したつもりが登録されていなかったというオチです。どうしてこうなった。

今回、ご紹介するのは、京極夏彦の嗤う伊右衛門です。

詳しい話は知らなくても名前だけは知っているだろうと思われる
四谷怪談をもとにした、病気で顔が崩れた民谷家の跡取り娘、岩と
その岩に婿入りした無愛想で生真面目な浪人、伊右衛門の悲恋です。
怪奇小説、というより恋愛小説という側面が強いですね。

四谷怪談と違うのは物語が始まる前から岩の容姿は醜くなっています。
このままではお家が亡くなるということを危惧した父、民谷又左衛門は
無愛想で生真面目で笑ったことがことがないとまで言われる浪人、伊右衛門を
婿養子として迎えることになります。

伊右衛門は岩の容姿より、その内面に惹かれて惚れ込んでいるため
お岩が不審ゆえに起こす癇癪も伊右衛門は黙って耐えます。
些細なことで夫婦喧嘩にはなりますが、時間がたてばそれなりに
落ち着いたとは思われますがどっこい、
容姿が美しかったころの岩に袖にされた事を逆恨みしている
権力者、伊東という男の差し金によって梅という妾を妻にと押し付けられ
もともと容姿に引けめを感じていた岩は伊右衛門の為を思って身を引き、
離縁して家を出ていきます。

しばらくの後、仲人からそれが全て策略だったことを知らされた岩は
激昂して仲人を殺害してしまい、パニックになって失踪します。
そこから「お岩のたたり」のうわさが流れ、もともと精神的に参っていた梅は
ますますふさぎ込むようになり、ついに子供がさらわれ、翌日、変わり果てた姿で
発見されました。
何もかもがわかってしまった伊右衛門は梅と伊東を斬り、
あまりの伊東の外道ぶりにおとがめなしになって一年後、
家から出てこなくなった伊右衛門の様子を見に民谷家の遠縁の若者が
屋敷を尋ねたところ、伊右衛門と岩の笑いあう声が聞こえて逃げ帰り、
さらに数日後にもう一度様子をみにいって・・・というところで終わりです。

原作四谷怪談ではこの伊右衛門はひどい夫として書かれていますが
今作ではひたすらに不器用で、顔の醜い妻をそれでも何よりも愛しているよき夫であり、
精神的に参っている梅が、執着するのもわかるくらいよい旦那さんです。
さいごの最後、ようやくこの夫婦は笑いあえますが、
それがどういう事かはご想像にお任せします。
あの描写からすると、お岩さんの遺体を
伊右衛門は連れ帰ってきて、大事に保管してたのかなあと思うと

伊右衛門の悟りっぷりと、行動の正体がわかるんですよね。
どこまでも伊右衛門の愛していた妻は岩ただ一人で
その深い愛に手を合わせたくなりました。

ちなみにモデルになったお岩さんは実在しており、
別に夫を祟ったわけでなく、むしろ夫婦仲良くお家を再興した人なんですけどね
どうしてああ(四谷怪談)なったのかすごい不思議です。


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本の紹介:幽霊詐欺師ミチヲ

梅雨にはいって雨が降り続いておりますこんばんわ。
筆者は勤務していた事務所が雨漏りしてえらいことになりました。
あれですね、ぽつぽつでなくだーって出てくるんですね。

今回ご紹介するのは、以前ご紹介した黒史郎氏の「幽霊詐欺師ミチヲ」です。
あらすじを簡単に紹介すると、結婚詐欺にあって借金こさえてしまったミチヲが
借金を苦に自殺しようとしたところで謎の人物、カタリと出会い、借金の返済に
幽霊相手に詐欺をしろともちかけられる、というトンデモです。
こうして主人公は今いる世界と別の世界、
此の世とあの世の境目を見る羽目になります。

このカタリという男、幽霊相手に詐欺を持ちかけるだけあって
本当に金の事だけしか考えてません。まさに外道です。
そしてミチヲも基本的に頼れる人がいないため、この男に渋々ながら
協力することになります。

そしてその幽霊もたいへんに癖のある奴らで
「運命の出会い」にあこがれるあまりにしょうもないおっさんにお金をだまし取られて
無理心中をした女の人に結婚詐欺を持ちかけるお話と、
こちらも無理心中をした現場になった家に憑いている幽霊を除霊する話の
2編となっています。

生きている人間のほうがよほど怖い。
この話はそれを暗示しているように、幽霊も怖いのですが
むしろその幽霊相手に金をだまし取ろうとするカタリのほうが
よほど恐ろしいです。
確かに死んでる人間、自分が死んでいるとは気づいていない人間は
彼にとっては絶好のカモなのでしょうが、死んでからもなお騙される、
というのもまたひどい展開だな、と同情してみたり。

しかしそこはホラー小説、主にミチヲのヘマのせいで
幽霊は悪霊と化し、本来の恐ろしい姿を見せてくれます。
途中の描写で人間らしい反応をするので忘れそうになりますが
彼らはすでに何人も直接、あるいは間接的に人を殺している悪霊なのです。

なんとかかんとか生き残ることができた彼らは次の獲物を探して
別の町へ、というところでいったん区切りになります。
ただ、ミチヲくんはいろいろとやらかした代償がくっきりとついているので
そのあたりは次回以降のお話になるのでしょう。
やっぱり生きている人間のほうが怖い、というか気味がわるいなあと
感じさせてくれるお話でした。
・・・ミチヲ君、多分一生カタリさんから離れられないと思うけどがんばれ。


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